髪、汗、爪の疾患
髪、汗、爪の疾患
円形脱毛症は、突然、主に頭の一部の毛が抜けてくっきりとした円形または楕円形の脱毛斑ができる病気です。通常、痒みなどの自覚症状はありません。子供から大人まで発症することがあり、男女差はありません。
アトピー性疾患との合併が多いことが知られています。他にも橋本病に代表される甲状腺疾患、尋常性白斑、SLE、関節リウマチ、I型糖尿病、あるいは重症筋無力症などの自己免疫性疾患を合併しうることも分かっています。合併症の有無を診断するために症状によっては血液検査を実施します。
症状は、典型的には境界明瞭な円形から類円形の脱毛斑を生じますが、脱毛斑が融合して不規則な形、帯状、頭部全体にびまん性に脱毛を生じることもあります。頭髪に生じることが主ですが、眉毛、睫毛、髭毛、体毛などにも生じることがあります。脱毛の重症度はさまざまで、小型で数個程度までの軽症例から脱毛範囲が広範囲な頭部全体に及ぶ全頭型、または全身に及ぶ汎発型まであります。経過はさまざまですが、多発型の場合には脱毛斑は融合と拡大・縮小、再発を繰り返し慢性に経過する傾向があります。慢性の重症例では同時に爪甲変形が見られることがあります。
男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症は、加齢やホルモンバランスの変化によって髪が細くなり、徐々に薄くなっていく進行性の脱毛症です。いずれも健康上の問題ではありませんが、見た目の印象や自己イメージに大きく関わるため、早めの治療を希望される方が増えています。
AGAは、主に男性ホルモンと遺伝的要素の影響によって引き起こされる進行性の脱毛症を指します。思春期以降に発症しやすく、年齢が上がるにつれてそのリスクが高まります。
代表的な症状としては、生え際や頭頂部の毛髪が薄くなる、抜け毛が増える、といった傾向があげられます。これらの症状は、放置していると徐々に進行するため、気になる方は早期の対策や治療が大切です。
女性型脱毛の場合は、特に頭頂部や前頭部の毛髪が細くボリュームが減少し、地肌が見えやすくなるのが特徴です。分け目の広がりが目立ち始め、症状が進行するにつれて頭皮がより明瞭に見えるようになります。女性型脱毛症の進行は緩やかで、数年にわたって徐々に症状が顕著になります。
原因としては、遺伝的要因、加齢やホルモン変化、ストレス、栄養バランスの乱れ、薬剤などが関係します。
AGA・FAGAの治療は保険適用外の自費診療となります。診察料や薬剤費は医療機関によって異なりますが、当院では治療内容を丁寧に説明し、安心して継続できるよう費用面も含めてご案内いたします。副作用や体調に応じたきめ細かなフォローも行っています。
薄毛は、進行する前に対処することで改善しやすくなります。「抜け毛が増えた」「髪のハリ・コシがなくなってきた」と感じたら、早めにご相談ください。
当院では、内服薬ではフィナステリドとデュタステリド、外用薬ではミノキシジル(男性用、女性用)を取り扱っています。
多汗症は、汗を過剰にかいてしまう状態です。緊張したときや運動時だけでなく、気温や季節に関係なく大量の汗が出ることがあり、日常生活に支障をきたすこともあります。
汗の分泌はエクリン腺とアポクリン腺からの分泌ですが、多汗症ではエクリン発汗が亢進しています。エクリン汗腺は、交感神経の支配を受けており、体温調節のために高温多湿の環境下や、運動、緊張などがあると生理的に汗の分泌が増えます。多汗症では交感神経系の過活動が関与しており、神経終末からアセチルコリンが過剰に放出され、発汗が増えている状態です。
続発性の場合にはそちらの治療を優先して行います。原発性の場合には以下の通りです。
外用治療
抗コリン外用薬を使用します。原発性腋窩多汗症に対してはエクロックゲル、ラピフォートワイプがあります。原発性手掌多汗症に対してはアポハイドローションがあります。
内服治療
頭や顔から汗をかく、といった方の場合には外用や注射は難しいため、内服の抗コリン薬を使用することがあります。作用、副作用のバランスを相談しながら処方をしていきます。
汗止め注射
外用薬が使えない、効果不十分の重度の原発性腋窩多汗症などに有効で、汗の分泌を促す神経伝達をブロックします。効果は数ヶ月持続します。
イオントフォレーシス
手足の多汗に対して電流を流し、汗腺の働きを弱める治療法です。(当院では行っていません)
多汗症は「体質だから」とあきらめてしまう方も多いですが、現在は保険適用の治療法も増え、症状をしっかり抑えることが可能です。汗の悩みは人に言いづらいものですが、適切な治療で改善できますので、お気軽にご相談ください。
巻き爪は爪のカーブが通常より強く巻いているもので、陥入爪(かんにゅうそう)は、爪の端が皮膚に食い込んで炎症や痛みを起こす状態です。多くは足の親指にみられ、歩くたびに痛みを感じたり、炎症や化膿を繰り返すことがあります。軽度のものは違和感程度ですが、重症化すると歩行が困難になることもあります。
巻き爪は、爪の形状が強く内側にカーブして生えるもので、生まれつきの爪の形や靴の圧迫、外反母趾などが関係しています。一方、陥入爪は、爪の角を短く切りすぎることや爪の割れ、欠けなどがきっかけで発症することが多く、爪の端が皮膚に食い込み、炎症や化膿を起こすものを指します。特にお子さま、成長期の若い方や長時間靴を履く方、ヒールなどで負荷のかかりやすい方に多く見られます。
初期には軽い痛みや赤みだけですが、悪化すると腫れ・膿・出血・肉芽(にくげ)形成を伴うこともあります。痛みを避けようとして歩き方が偏ると、膝や腰に負担がかかることもあります。
皮膚科では、症状の程度に合わせて治療を行います。根本的に治療をするには爪の形を整える治療が重要です。状況に応じて爪切り処置や局所麻酔を使用して爪の棘を滑らかに切る処置をします。
当院では爪の形そのものを変えてしまうフェノール法は行っておりません。
再発予防のためには、深爪をしない・爪をスクエアに切る(爪の角を丸に切らない)・サイズの合った靴を選ぶ、靴紐を毎回結んで足首で固定することが大切です。歩行時に足指へ均等に力がかかるように意識することも効果的です。
爪のトラブルは、放置すると慢性的な痛みや感染を繰り返すことがあります。早めに適切な治療を受けることで、短期間で改善し、再発も防げます。爪の痛みや腫れでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
「ひょう疽(ひょうそ)」とは、指先や爪のまわりに細菌が入り込み、腫れや痛み、膿がたまる感染症です。医学的には「化膿性爪囲炎(かのうせいそういえん)」と呼ばれます。主に手指に起こりますが、足の爪のまわりに生じることもあります。
ひょう疽は、小さな傷やささくれ、爪切りの際の傷、甘皮(爪の根元部分)の剥けなどから細菌(主に黄色ブドウ球菌や連鎖球菌)が入り込み、感染することで発症します。
水仕事が多い方、指先をよく使う職業の方、爪を噛む・むしる癖のある方、糖尿病のある方などは発症しやすい傾向があります。
初期は、爪のまわりが赤く腫れてズキズキと痛むのが特徴です。進行すると、皮膚の下に膿がたまり、触れると強い痛みを感じたり、指を動かしにくくなったりします。膿がたまった状態を放置すると、感染が広がり、骨や腱に炎症が及ぶこともあるため、早期の受診が大切です。
治療は、症状の程度に応じて行います。軽症の場合は、抗生物質の外用薬や内服薬で炎症を抑え、患部を清潔に保ちます。
膿がたまっている場合は、切開して排膿を行うことで、痛みが速やかに軽減し、回復が早まります。膿を無理に押し出そうとすると感染が悪化するため、自分で処置せず医療機関で適切な治療を受けましょう。
再発を防ぐためには、指先の乾燥やささくれを放置しないこと、爪の切りすぎに注意することが大切です。特に水仕事やアルコール消毒を頻繁に行う方は、ハンドクリームなどで保湿を心がけましょう。また、爪を噛む癖がある場合は意識的にやめることが予防につながります。
ひょう疽は放置すると痛みが強くなり、治るまで時間がかかることもあります。早めの受診と適切な治療で、腫れや痛みを早期に改善させましょう。指先に違和感や赤みを感じた時点で、ぜひ皮膚科へご相談ください。
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