ほくろ
ほくろ
「ほくろ」のことを医学用語では「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」と言います。メラノサイト(色素細胞)に似た良性の母斑細胞が集まることにより生じます。母斑細胞はメラニン色素をもつため、母斑細胞の分布・位置や量によって褐色~茶色~黒色の色調となり、しみのようなたいらな色素斑から隆起した病変など、さまざまな色調および形状をとります。ヒトの成長の過程で学童期から思春期以降に出現してくるもの(後天性色素性母斑)と、生まれつきあるもの(先天性色素性母斑)とがあり、前者が圧倒的に多いです。また、ほくろは良性ですが、ほくろに見えるものの中には一部、悪性腫瘍が紛れている場合もありますので、そのような病気を見落とさないことが大切です。「急に出現した」「大きくなった」「色調や形状が変化してきた」「出血する」などの変化が見られた場合は、自己判断せず、できるだけ早めに皮膚科を受診して医師の診察を受けることが重要です。
ダーモスコピーという機械で観察することで、ほくろか、それ以外の疾患かを診断します。
良性のほくろの診断となれば特に治療は必要ありませんが、顔など目立ちやすい部位にある、膨れているため引っかかる、といった場合には外科的に切除する治療もありますのでご相談ください。
ほくろは、皮膚内に存在する母斑細胞が過剰に増殖することによって発生する良性腫瘍です。生まれつき存在している先天性のものもあれば、思春期以降に紫外線やホルモン変化、加齢、外的刺激などの影響によって後天的に出現するものもあります。明確な誘因が特定できないケースも多いですが、以下のような因子が発生に関与していると考えられています。
一般的なほくろは、皮膚にできる直径数ミリから1cm程度の黒色または茶色の斑点で、平坦なものや、やや盛り上がっているものが見られます。通常は痛みやかゆみといった自覚症状はなく、日常生活において特に問題を生じないことが多いのが特徴です。
一見ほくろやしみに見える色素斑なども実際はメラノーマである、という可能性もあります。時々全身の皮膚のほくろやしみをチェックしてみましょう。自分ではチェックしにくい頭髪部や背中はご家族やお友達にみてもらいましょう。下記に示す4点についてチェックして、2つ以上あてはまるようなことがあれば、皮膚科専門医の受診をお勧めいたします。皮膚科専門医の診察により悪性の疑いが指摘されれば、通常、皮膚悪性腫瘍を専門とする皮膚科医が診療を行っているがん専門病院や大学病院に紹介を受け、適切な診断と治療を受けることができます。
ほくろの診療では、まず問診にて症状や経過、気になる点、ご自身の希望や不安などを丁寧にお伺いします。そのうえで、ダーモスコピーと呼ばれる専用の皮膚拡大鏡を用いて、色調や形状、境界の状態などを詳細に観察し、良性か悪性かの判断を行います。
ダーモスコピーはライトがついた拡大鏡のような診療器具となります。これを使用することにより、痛みを伴うことなく皮膚病変の表面を拡大して詳しく観察でき、より正確な診断が可能となります。健康保険も適用されています(自己負担額は数百円程度です)。ほくろやしみをダーモスコピーで観察すると、皮膚表面の色素の状態が詳しく診察でき、その色調や色素のパターン、分布などから、メラノーマと色素性良性疾患(ほくろ、しみ、血まめ、他の皮膚良性腫瘍など)を正確に診断できる確率が高くなります。この検査は現在広く普及しており、メラノーマの早期発見・早期治療に繋がっています。
一方で、すべての病変をダーモスコピーのみで正確に診断できる訳ではありません。確定診断のためには病変の一部や全部を切り取って顕微鏡で組織を調べる生検が必要になることがあります。
顔面にできやすく、ほくろに似た見た目の場合があり注意が必要です。発症頻度が高く比較的よく見られる皮膚がんです。ダーモスコピー検査で特徴的な所見があります。比較的悪性度は低いですが、放っておくと進行します。手術で完全に取り切る必要があります。
メラノーマは、日本語では悪性黒色腫とも呼ばれ、皮膚のメラニン色素を作るメラノサイト(色素細胞)ががん化した腫瘍と考えられています。通常、がん細胞がメラニン色素を多量に産生することで黒色の病変となることが多いため、黒色腫と呼ばれます。一方で、がん細胞のメラニン色素産生の程度はさまざまで、あまり産生されないと色調は褐色~茶色となり、メラニンをほとんど産生しないと、常色~淡紅色を呈することもあります。
メラノーマは、発生しやすい部位や形態によって主に4つのタイプに分けられています。
末端黒子型
足のうらや手のひら、手足の爪部(正確には爪下部)などに発生するメラノーマです。日本人メラノーマの約40%を占める病型であり、日本人に最も多いタイプです。典型的には色調や形が不規則な、たいらな色素斑がみられ、色素斑の一部に隆起する病変がみられます
表在拡大型
胸・腹・背中など体の中心部や手足の付け根に近い部位など、時折日焼けをする部位に発生するメラノーマです。白色人種で最も多いタイプであり、日本人でも肌の色が白い人に発生が多いタイプです。典型的には黒色のボタンを置いたような見た目を呈します。
結節型
とくに発生部位は関係なく、結節状のがん細胞の塊がだんだん大きくなってくるタイプです。結節のまわりには、末端黒子型でみられるようなたいらな色素斑がみられません。
悪性黒子型
持続的な日焼けをしやすい顔面に発生し、高齢者に多いタイプです。不規則な色調や形が不規則な、たいらな色素斑が徐々に拡大してくるタイプです。時間がたてば色素斑内に結節が生じてきます。
その他
その他に皮膚以外に生じるメラノーマとしては粘膜メラノーマがあります。鼻、口腔内、女性の小陰唇、膣などに生じます。また眼球の内部の壁に生じるメラノーマもあります(脈絡膜メラノーマ)。
ダーモスコピー検査で以下の点を確認し、悪性の可能性が高いと判断された場合は、速やかに腫瘍を切除し、病理組織学的検査を行うことで確定診断を行います。
当院では、ほくろの性状や部位、患者様のご希望から総合的に判断し、最適な治療法をご提案しています。主な治療法は以下の通りです。
CO2レーザーによる治療
CO2レーザーを使用してほくろを削りとる治療です。治療後は傷ができた状態となります。比較的短時間で処置可能で、傷跡が目立たないことが多いですが、ほくろが再発することもあります。また、病理検査ができないというデメリットがあります。
切除手術
メスを使って切除し、糸で縫合します。手術後は病理検査によって確定診断が可能です。
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